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本屋さんにもさまざまなタイプがあります。一般に流通している書籍を扱う書店。そして、日本橋ならではと言えるのが、同人誌を中心に取り揃える書店。そして、日本橋にかぎらず意外に身近なのが古書店です。

ブックオフだって古書店のジャンルに入ります。さて、そんな古書店も日本橋のとあるお店は地域性、いやそのお店の稀有なスタイルで際立った存在感を持つお店があります。そう、今回ご紹介するお店。唯一無二と言ってもいいカオスっぷりを発揮する「兎月屋書店」がそれです。

お店の読み方は「とげつやしょてん」となります。字面だけ見ると、なんだかセンスの良い小説の初版本とか扱っていそうな小洒落た雰囲気がありますが、まったくの真逆です。驚き、そしてニヤリとしてしまう発見の連続が待っています。

オフ・オタロードに忽然と現れる古書店

まずは場所から。なんばCITYからなんさん通りを東に進みます。

初めて出くわす信号を右折。ちょうどオタロードからワンブロック西側の筋になります。いわば「オフ・オタロード」です。そこを通りに沿って南下します。

通りの左側を見ながら進むと、数ブロック先に青いテント型のひさしがある古書店が目に入ります。

店先はビニールカーテンで覆われており、雑誌が並べられた棚がぽつんと置かれているだけです。下手をすると見落としてしまうのでご注意ください。

 

本当に営業中か、悩ましくなる店内です

さて、ちょっとした勇気を持って店内に入ります。が、入ったそばから驚きます。「これって今営業しているよな?」と疑うような店内だからです。通路は人一人がやっと通れるかどうか。その通路も迷路のように細かく折れ曲がっています。その上、ちょっと進むと通路を塞ぐようにアルミ製のカゴ型ラックがデンと置かれています。まるで、店先に置いてあった棚類を閉店後に店内に無理やりしまいこんだかのような雰囲気です。店内の奥まったスペースを見ると、昔ゲームセンターや喫茶店に置かれていたようなテレビゲーム機までが置かれています。

一瞬、帰ろうかと思いましたが、「いらっしゃいませ〜」と、店主が本のすき間から覗き込むように顔を出して挨拶してくれます。「こりゃあ、えらいとこに来たな。本を探す、じゃなくて発掘するだな」と思いを改めることになりました。

 

本当に書店?品揃えの幅が広すぎる!

さっそく店内の書棚に目をやります。どこからどう説明すればいいのか。迷ってしまうほどジャンルが幅広いのです。言い換えると、実に節操がない。もちろんいい意味で、です。

入口付近の書棚には、かなり古いマンガ雑誌が並んでいます。例えば、1970年代の少年ジャンプや少年画報など。表紙を見ると永井豪が連載しているマンガが描かれていたりします。もっとも、こうした書籍なら普通の古書店でもあるでしょう。

さらに奥に進んでみると、昔の図鑑や懐かしい絵本などが並ぶコーナーがありました。かと思えば、いったいいつの時代のCDだよと思うような歌謡曲のCDコーナーもあります。そして、おそらく店主の趣味だろうと思われる古いクルマやバイク関連の情報誌。表紙を見るだけで、時代を彩った懐かしの名車が把握できます。手に取るもの、手に取る本に「へ〜」や「ほ〜」と声が上がります。もっとも、これはいいなあと思ったものでもプレミアが付いているものはやはり高額です。例えば、今をときめく女優の「有村架純」が水着を着て写っている青年誌(5年ほど前のヤングジャンプ)はなんと5000円です。

 

男子諸君は懐かしいと感じるコーナーも

お店の奥には、今は売られていないガンダムのプラモデルが山積みになった一角もあり、もはや書店の域を飛び越してしまっています。

よおく見てみると、今流行りの精巧に作られた「リアルグレード」や「マスターグレード」なんかではありません。パーツ数もすくなく、関節の可動域も少ない初期のガンプラです。パッケージのイラストにも昭和の雰囲気が漂っていて、ちょっと作るのをためらってしまうような雰囲気さえあります(若干脇道にそれますが、プラスチックは劣化するため、長い間組み上げられていないプラモデルは、プラスチックがもろくなっていてゲートからカットするときに折れてしまうおそれがあるのです。そのため、保管用として持っておくコレクターズ・アイテムと捉えたほうが良いかもしれません)。

そして注目すべきはお店の最深部です。そこにはいわゆるエロ本コーナーがあります。と言っても、今現在売られている本はありません。一昔、いや二昔前の成年向け雑誌が並んでいます。男子諸君は、「あー、お世話になったやつだ。。。」というような書籍が一冊はあるはずです。なんだか気恥ずかしさとともに懐かしさが味わえるので、不思議なものがあります。

単純にお店をウロウロしているだけでも楽しい書店。きっと帰りがけには、不思議な本を抱えている自分に出会えるはずです。この日の私は、つげ義春の古いマンガを抱えて店を後にしました。

 

店舗情報

 

兎月屋書店

住所:大阪市浪速区日本橋西1-4-16

営業時間:11時〜21時