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古本屋、と聞くと大体入口から奥に向かっていくつかの通路があり、その棚には雑然とさまざまな本が並んでいる。そして、奥にはおじいちゃんかおばあちゃんの店主が座って、気の向くまま本を読んでいる。そんな光景を思い浮かべるのではないでしょうか。

もっとも、同じように見えて古書店でも「やる気のある店舗」と「そうではない店舗」というものがあります。例えば、定期的に本棚の本をいれかえたり、強化するジャンルを作ったり。やるべきことはたくさんあります。

なんばにもやる気に満ちている古書店があります。

なんば古書センターについて。もはや「センター」ではないかもしれない

 

今回ご紹介するのは「なんば古書センター」、そのなかでも「山羊ブックス」になります。

山羊ブックスについて触れるまえに、少しなんば古書センターの話をしなければならないでしょう。古くをたどれば、大阪球場で営業していた古書店がいくつもありました。しかし、大阪球場の取り壊しに伴い、なんばに14店舗の古書店が移転してきました。それがなんば古書センターです。

しかし、後ほどご説明しますが、現在営業しているのは(私が確認する限り)山羊ブックスだけです。もはや、センターではありません。ブックオフをはじめ、ネット軽油での中古本流通が盛んになり、リアルな店舗はどんどんと姿を消していっているという悲しい現実があります。

なんば古書センターには、まだ4店舗が営業していた当時の案内が表示されていて、それを見るたびに本好きとしては胸が締め付けられる思いがするのです。

 

ビルの一角に山羊ブックスはあります

さて、少し悲しいお話になってしまいましたが、今回ご紹介する「山羊ブックス(なんば古書センターにあります)」について触れることにします。

まずは場所です。お店は南海日本橋ビルというビルの中にあります。このビルは、なんばパークスの目と鼻の先にあります。より具体的には、天ぷらで有名な「大吉」の通りを隔てた向かい側です。ビル1階のショーケースには「なんば古書センター」と看板が表示されているのでわかるかと思います。

ただ、大きく「センター」と書かれていても、なかには1店舗しか営業していないかと思うと、また心がギュッと掴まれるような感じがするのです。

 

お店には実にさまざまなジャンルの本が整然と陳列されています

 

さて、気を取り直してビルの中に入ります。すると、とても静かなことに気がつくはずです。それもそのはず、営業店舗は山羊ブックスしかありません。ビル内は広いのですが、他の店舗は閉ざされていて、まるでシャッター街のような印象すらあります。

そこに、山羊ブックスだけが、店先に様々な書籍が入ったワゴンを置き、希少本を陳列しているショーケースを設け、店内には10本もの書棚を設置しているのです。きちんと、ジャンルごとに整頓されていて、あるブロックは小説の文庫本。あるブロックはレトロなまんが。別のブロックには古いお色気雑誌というように。静けさとともに、古書店特有の古びた紙の匂いが漂っていて、なんとも落ち着く空間です。

 

定期的に書棚の構成が変わる店内

 

実はこちらのお店、定期的に書棚に置かれた本の構成が変わります。つまり、定期的に本を入れ替えているのです。

おそらく、店内の書棚とは別の場所に書庫を持っていて、そこの本と入れ替えているのではないかと考えられます。訪れたときは、入口間際の書棚には、歴史小説がズラリとならんでいました。それこそ代表的な作家で言えば、池波正太郎などです。初版本を置いている、というよりは、池波正太郎をこれでもかと並べる感じです。そのため、価格は抑えめ。状態の良い文庫本でも300円程度で販売されていました。

一方、スペースは小さいもののマンガも置かれています。例えば、藤子不二雄の若かりしころを自伝的に描いたマンガ、「まんが道」がけっこうな冊数でおいていたり(このうちいくつかは購入しました)、さいとうたかをの「サバイバル」が一揃いあったりと、なかなか興味をそそるものがあります。

古書店の特徴は、本の買い付け、すなはち「選書」にこそ現れます。山羊ブックスは、「有名な作家でも、こんな本は読んだことないやろ?ちょっと古いけど、読んでみたらおもろいで」というスタイルの選書をしているのかなあと思います。実に遊び心がある、そんなお店です。

この日、一番遊び心を感じたのは、10年ほどまえの「豊中市」や「福井市」といった街の地図を扱っていたことです。ここ10年でも、随分街は様変わりしました。自分とゆかりのある土地の古い地図を購入して、今と比べてみると楽しいかもしれません。

 

なんば古書センターのなかの店舗は減りました。しかし、どっこい古書店は生きています。どうか色々な人が訪れて、ちょっと幸せになれる本に出会って欲しいと願うばかりです。

 

店舗情報

 

山羊ブックス(南海なんば古書センター内)

住所:大阪市浪速区日本橋西1-3-19 南海日本橋ビル1階

電話:06-6647-7135

営業時間:11時〜20時

定休日:不定休(基本的に年中無休)