16 ENTRY

実は、大阪市内、特に本町を中心としたエリアでコーヒー店が注目を集めていることはご存知でしょうか?コーヒー店と言っても、いわゆる喫茶店ではありません。イメージとしてはスターバックスやタリーズコーヒーなどに近いタイプです。お店側が自ら豆を選定して仕入れ、独自のロースト方法で煎り、提供するスタイルです。

こうした豆にこだわりを持つコーヒー店が、日本橋にもあります。それが、ブルックリンロースティングカンパニー」です。

もともとは北浜で名を馳せた有名店

この「ブルックリンロースティングカンパニー」は、金融と証券の町である北浜で有名になった店舗です。北浜のお店は、中之島の川沿いに面しており、ゆっくりとコーヒーを楽しみながらぼんやり川沿いの風景を眺めることができる癒しのスポットでした。平日はそれこそ、生き馬の目を抜く証券マンたちの憩いの場でもある、そんなお店。一方、休日になれば、おそらくは本町周辺には用がないだろうけれども、お店のコーヒーを求めて「通」たちが足しげく通うお店になります。いつも店内はコーヒーマニアであふれ、思い思いに談笑しながら味を楽しんでいるという風景が広がっています。

そんな「ブルックリンロースティングカンパニー」が日本橋界隈にお店を出したということですから、これは行かないという選択肢はありません。

 

高架下に現れた「リトルニューヨーク」

 

お店までの道筋は至極簡単。なんばシティから、なんばを背にして線路沿いにずっと進みます。すると、高架下沿いには多様な店舗が現れてきます。DIYのお店だったり、野球用品店だったり。こうした店舗に興味をそそられつつもやりすごし、徒歩で4~5分程度進むと、高架下に店舗が現れます。

パッと店舗を眺めると、「どこにも日本橋臭がない」とびっくりするかもしれません。店舗の外観は、どこからどう見ても「リトルニューヨーク」です。

鉄枠のガラスで覆われており、店先にはバイクスタンドが複数陣取っています。もしここがそれこそニューヨークだったら、メッセンジャーたちが、ピストバイクをスタンドに引っ掛けて、コーヒーを仕入れる。そんな風景がぴったりと当てはまりそうな雰囲気です。

 

次々と人が吸い寄せられていく店舗。中もオサレです。

 

フォトジェニックな外観をおさめようと、カメラのシャッターを切っているそばから、人がガラス扉の奥へと吸い寄せられていきます。それこそ、若いオサレなカップルから、ダンディな紳士まで。中にはベビーカーを押して入っていく若い家族連れまで。

「そんなに老若男女に居心地のよいタイプのお店だったかなあ?」と、北浜店のことを思い浮かべながらお店の中へと進みます。

先ほどの疑問はお店に入ると「撤回だね」と思い直さざるを得ない雰囲気でした。

高架下の広いスペースを活用した、だだっ広く、長い店内はコンクリートの打ちっぱなしを基本としています。そこに、木で作られた重厚かつ大きなテーブルがいくつもおかれ、その周囲を囲むように椅子がズラリと並べられています。

いくつかソファ席も設けられていますが、どこの椅子も人でうまっているような盛況ぶり。みなさんが、コーヒーを飲みつつ、さまざまに談笑しています。

お客さんが外国の人だったら、まんまニューヨークかどっかに来たみたいやなあ」というのが素直な感想です。

これだけ多くの人がいて、しゃべり声があっても、開放的な空間というのはとても貴重ではないでしょうか。おそらくはガラス張りでたくさんの外光が入ってきて、天井高もしっかり確保されていることに理由がありそうです。

ちょっと仲良くなりたいガールフレンドを連れてきたら、見直されそうな雰囲気です。

 

味へのこだわりは店内にも見受けられます

 

注文するためのカウンターに並びながら、ふと気づいたことがあります。

それは、カウンターの奥に大量のコーヒー豆が入ったズタ袋がところ狭しと並んでいること。ある女性スタッフが、その袋のひとつから巨大なスコップを使って、ざくざくとコーヒー豆をすくい、ローストするための機械に投入しています。「なるほど、店内で炒りたてを提供するのか。そりゃうまいはずだわな」と納得します。

注文カウンターでは、まだまだ寒い時期でしたがアイスコーヒー(350円)をオーダーしました。

 

アイスコーヒーはコーヒーのおいしさを測るバロメーター

私は、はじめて訪れたコーヒー店ではできる限りアイスコーヒーを注文することにしています。というのも、アイスコーヒーはホットコーヒーよりも「おいしく仕上げる」のに苦労するものだからです。

その理由としては、まず香りは「温度が高いものほど強く感じられる」という特性があるためです。したがって、低温のアイスコーヒーの場合、香りがなかなか立たないというハードルがあります。

味についても同様です。甘みやコクといった要素は、高温ほど強く感じることができます。例えば、同じ日本酒を冷酒と熱燗を比べてみると歴然となるように。

加えて、アイスコーヒーは冷やすために氷を入れます。この氷が溶けると、どうしてもコーヒーの味が薄まります。そのため、氷が溶けてもしっかり味を維持できるかどうかというハードルもあるわけです。

 

驚きの味。じっくりと飲みたくなる

 

と、ややチェックの意味合いが強い気がしましたが、アイスコーヒーをオーダーし、提供された後に腰掛ける場所を探しました。しかし、どこも満席。

しかたなく、お店の外にあるベンチが置かれた喫煙スペースでコーヒーをいただくことにしました。

余談になりますが、昨今全席禁煙のコーヒー店が増えていることもあり、屋外とは言え、こうした喫煙スペースが設けられた店舗は貴重だと言えるのではないでしょうか。

「ではでは」と心の中で準備をして一口コーヒーを飲みます。

驚きました。何に驚いたかって、コーヒーのすべてです。

口に入れた瞬間に、ガッツリとどこか甘みすら感じる香りが花開きます。次に来るすっきりしたコクは、例えて言うならばローストしたナッツや香草のようなスパイシーさがあります。味は甘みが先行し、それを追いかけるようにやわらかな苦みが舌を覆います。

ただのひと口。ただのひと口のはずが、さまざまな味や香りがジェットコースターのようなスピードでやってくるではありませんか。

「こりゃあ、化け物だわ」と思わず独りごちました。先ほどまとめたチェックポイントを余裕でクリアする上質なコーヒーです。

ゴクゴクと飲むのはいかにももったいない。道行く人をぼんやりと眺めながら、ひと口。またひと口とゆっくり味わうことが適していると感じます。

混み合った店内を避け、人のいない喫煙スペースであったことが、逆にうれしくなる。そんな上質な時間を提供してくれた。その一杯に「感謝」の気持ちがこみ上げてきました。

 

豆ももちろん購入できます。

 

ゆっくり、20分ほどかけたでしょうか。アイスコーヒーのカップを捨てるために、再び店内に入りゴミ箱に向かいます。すると、店内の壁にはコーヒーを楽しむためのグッズや豆が並んでいることに気づきます。「そうか、豆ももちろん買えるんだね。ちゃんと炒れる自信はないけど」と思い、購入するのは踏みとどまりました。ただ、自転車を趣味にする人間として、このお店オリジナルのサイクルキャップが販売されていたことには「うおお、買うべきか?」と悩んだことは付記しておきましょう。

今度は、ホットコーヒーを楽しみたいな。オープン直後の空いている店内で、ドーナツも頼んで。と、妄想を膨らませながら再訪を誓いました。

 

こちらのお店はピザ屋さんと共通の店舗となっています。ピザを食べた後の一服としてうまいコーヒーを、というゴールデンコースまで可能なのはうれしいところです。

 

(店舗情報)

ブルックリンロースティングカンパニー

住所:大阪市浪速区敷津東1-1-21なんばEKIKAN

電話:06-6599-9012

営業時間:8時~20時(ラストオーダー19時30分)

定休日:不定休