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こういったお店の紹介をまとめる記事を執筆していると、ふいにこんな気持ちに襲われることがあります。

取材したものの、好きすぎて書きたくない」という感情です。もっとも、このような気持ちに襲われる一方で、「ああ、でも色々な人にこの感動を共有してほしい」とも思ったり。文字通りのジレンマです。

今回筆を取ったお店は、まさにそうしたジレンマに陥った代表例とも言えるものでした。

実際、取材を行ってから執筆まで実に1ヶ月以上が経過しています。その間、他のお店ばかり執筆していたわけですから、アニメに登場する純情系の乙女もびっくりの迷いっぷりです。

では、どのようなお店かと言えば、カフェです。とても小さく、でものんびりとできるお店。日本橋の喧騒からは想像できないほど、ゆっくりとした時間が流れる路地裏の名店とも言えるところです。

 

最近なにかと面白い「日本橋商店会」の一角にそのお店はあります。

お店の名前は「tidycafe」。場所は日本橋商店会の一角にあります。日本橋商店会は、オタロードをずっと南下していき、南のはずれにあります。商店会の入口には、昔ながらのアーケード状の看板が設置されているためわかりやすいはずです。tidycafeは、オタロード側の入口から商店会に入り、まっすぐ堺筋サイドに進みます。そして、2つ目の十字路を左折し、次の十字路を右折するとあらわれます。十字路と言っても、こじんまりした商店街の路地といった風情です。古くから営まれている電気店や、雑貨店などの風情を楽しみながら、お店を探してみてください。

 

どっちがお店?どっちもお店。不思議な構造です。

 

さて、お店の前にくるとおそらく多くの人が不思議に思うはずです。というのも、路地を隔てて両サイドにお店があるからです。一方の店舗にはキッチン、洋菓子が並ぶ注文カウンター、二階のカフェスペースがあります。もう一方の店舗は、一階部分にカフェスペースが設けられています。二階席はありません。こちらのお店は、注文カウンターでオーダーを通した後で、二階席にいくか、通りを隔てた向かいのカフェスペースで待っていると、注文したものが給仕されるという仕組みです。そう、路地を隔てて向かい合う店舗。そのどちらもがtidycafeなのです。

不思議な店舗にちょっとワクワクしつつ、注文カウンターのある方でオーダーを通します。カウンターにはその日作られた日替わりのケーキや焼き菓子などがかわいく並んでいます。

訪問した当日は、春を意識したメニューが並んでいました。その中からほうじ茶をつかったムースケーキを選択。そして、おまけでシフォンケーキの端切れも注文。こちらのお店は通常500円のコーヒーがスイーツを注文するとセットメニュー扱いになるため、350円になります。したがって、なにかスイーツと飲み物を頼むのが賢い使い方と言えます。

 

ゆっくり時間が流れる、ややオタな店内

 

オーダーを済ませた後、二階席に行くか、路地を隔てた向かいの席に行くのか悩んでいると、「二階席はいま4名様がいらっしゃいますので、お向かいの席の方が静かですよ」と店員さんから絶妙なアドバイスをいただいた。

そのため、ガラガラとガラスの引き戸を開けて向かいの席に進みます。こちらもガラスの引き戸になっています。そのため、席に腰掛けると、路地越しに(正確にはガラス戸+路地越しに)注文カウンターを眺めるというなんとも不思議な間取りになっています。

客席はゆったりすわれるソファが2つ。そして二人がけの席が2つ設けられています。いずれも北欧系を思わせるおしゃれなデザイン。しかも深く腰掛けられるような作りになっていて、和めます。

もっとも、ここはサブカルの聖地・日本橋。なかでもマニアックな場所である「日本橋商店会」にお店を構えるカフェです。おしゃれだけで終わるはずはありません。店内の各所にウォーズマンのぬいぐるみが置かれています。キン肉マンならまだわかるのですが、そのなかでサブキャラクターであるウォーズマンのぬいぐるみが置かれているところにシュールさを感じます。また、ところどころにぐでたまのぬいぐるみもあります。どうやらこのお店の店主は、キャラクターものが好きなようです。

とにもかくにも、このお店の特等席は通りを隔てた客席のゆったり座れるソファ席です。そこからガラス越しに眺める路地を行き交う人を眺めたり、パタパタと料理を準備する店員さんを眺めたりするのがとても楽しいです。

加えて、ゆったり腰掛けられるソファのため、本を持ち込んでゆっくり読書にふけるというのも一興です。

 

ケーキに垣間見える一手間。なるほどとうなずく味。

 

ぼんやりと路地裏ウォッチングを楽しんでいると、ほうじ茶のムースケーキ、シフォンケーキの端切れ。そしてコーヒーがやって来ます。

ほうじ茶のムースケーキは、苦味よりもほうじ茶の香りを楽しめるように配慮されています。苦味はあくまでアクセントです。ムースの加減も固すぎず、ふんわり感が残されています。思わず、「なるほど良いバランスだなあ」と独りごちてしまいました。

続いて端切れのシフォンケーキ。こちらはシフォンケーキを型から外して切り整えるときに余った部分。そのため、カリッとした食感が楽しめるところと、シフォンのフワフワ食感が楽しめるところがあり一粒で二度美味しい展開です。

苦味が強めのコーヒーとぴったりの相性で、笑顔がこぼれてしまいます。

もっとも、紹介しておいて申し訳ないところですが、これらのお菓子類は「季節に応じて」あるいは「その日によって」異なるメニューであるため、実際にお店に行って出会えるかどうかはわかりません。ですが、そのタイミングで季節感を大切にしたお菓子のラインナップがあるため、楽しみにしておいてください。

 

大好きな彼女と。あるいは大好きな本と。

tidycafeには、日本橋のワイワイガヤガヤした雰囲気とは隔絶された、不思議な静けさがあります。それと同時に、どこかゆるりとした雰囲気もあり、「ずーっとのんびりしていたい」と思わせる空気が店内に満ちています。

こんなお店は、大好きな彼女と他愛のない話に花を咲かせたり、大好きな本を読みふけったりするのにうってつけではないかと思われます。

日本橋商店会散策のときに、立ち寄ってみるととても幸福な気持ちになれること請け合いです。

 

tidy cafe

住所:大阪市浪速区日本橋4-13-3

電話:06-4395-5081

営業時間:13時30〜22時

定休日:木曜日(月に2回ほど不定休があり)

ホームページ:http://tidy-cafe.com

ツイッター:https://twitter.com/tidy_cafe