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日本橋は歩く街です。

アニメのグッズやマンガを探すのに、たくさんのお店をまわる人は多いはず。単純にうろうろと散策しても、なかなかの広さがある街です。いわゆるサブカルチャーのグッズを扱う店にまぎれて、謎の道具を扱う店や高級時計を扱う店。小さなメロンパンの店などなど、不思議なお店が溢れ、飽きません。探検隊になったようにあちこち歩けます。

もっとも、この街には悩ましい課題があります。それは、歩き疲れたときに立ち寄り、休憩できるようなお店が乏しいということです。

目につくところと言えば、カフェ・ド・クリエ、ドトールコーヒー、マクドナルド、バーガーキングなどよく見かけるチェーン店ばかり。「あ、ここに寄ってみようかな」というお店は少ない。

そして、こうしたお店を否定するわけではありませんが、お茶をするにしても落ち着かないという点も残念なポイントです。場所柄か、たくさんの人がいて、思い思いに今日あった出来事や今日の収穫(主には買ったトレーディングカードやアニメグッズ)についての話をする声が響いているためです。疲れたときにのんびりとコーヒーをすすり、のんびりするということには不向きな部分があるためです。

ちょっと不思議。でも「わかるわぁ」な空間

「休憩スポット難民」だった私は、先日、幸運にもこうした不満を感じさせないお店に出会えました。

堺筋沿いに面したauショップのある交差点から2ブロックほど、松屋町筋方面に進みます。「1本筋を入るだけで、こんなに静かになるのか」と、はじめて堺筋の東サイドを散策した人は、周辺の静けさに声を漏らすかもしれません。それほど堺筋沿いのガヤガヤした雰囲気とは対照的です。

目の前に六星パーキングというビル型の駐車場が見えたら、右を向くとそのお店はあります。角に面するお店は、ガラス張りの外観に木製の看板。何より印象的なのが、造花で壁面を覆った壁面緑化がなされていることです。店舗の前にはバイクスタンドが置かれ、おそらく店員さんのものであろうクロスバイクのサドルが引っ掛けられています。

歩き疲れて棒になった足をひきずり、ガラスの扉をガチャリと押し開けます。コンクリートの打ちっぱなしの床と、白い塗り壁を基調とした店内には、FMラジオがBGMとしてかかっています。分厚い木の机が中央にドンと構えられています。その周辺には1人掛けの椅子が並びます。椅子はまるで古い学校から持ってきたような、木とメタルのもの。一方、窓際には木製のカウンターが設置され、こちらにはバーカウンターに使われるような背の高い椅子が並びます。

これも木とメタルでできたものです。おもしろいのは、1席だけ、まるで勉強机のような席があること。机の上には、デザインの本やら確定申告の本やらが置かれ、不思議な雰囲気があります。部屋の隅には、古めかしい灯油ヒーターがおかれ、その上ではチリチリと音をたてるヤカンからゆるゆると蒸気が立ち上っています。

「不思議だけど、悪くない」という印象です。その不思議さにつられてキョロキョロとお店を見渡すと「新建築」などの建築雑誌や、デザイン系の雑誌が置かれ、一部には難しそうなマーケティングの本などもあります。きっと、デザイン系の学校を出られた人がお店をやられてているのかなと思われます。よくよくみると、Wi-fiがフリーで使える旨がポップに記されています。ファストフード店などでよく見かける、ケータイ会社との契約がないと使えない回線ではありません。ポップに記載されたパスワードを入力すれば、純粋に無料で使えるありがたいものです。また、机の隅にはコンセントがあり、スマートフォンの充電なども無料でできることも便利です。日本橋界隈を、グーグルマップなどを見ながら散策していると、思いの外電池が消耗するもの。こうした配慮は散策時にはポイントが高いものと思われます。もちろん、充電のためにカバンからケーブルを取り出し、コンセントと接続しました。

落ち着いて店内を見回すと、天井からある紙の束がぶら下がっていました。よく見てみると「お仕事の依頼」と書かれてあり、どんな仕事を依頼したいのか、納期はいつまでなのかなどの記載項目が設けられていました。どうやら、このお店はお客様同士がつながりを持つことで、様々な仕事のつながりを持てるようにという取り組みがなされているようです。それゆえ、店内には仕事に役立ちそうな書籍が並んでいるのだと思われました。

こちらは、疲れた足を休めることが目的だったので、「なるほどなあ」と思うに留まりましたが、なかなかおもしろいコンセプトだなあと感心した次第です。

 

過不足ないカフェメニュー。使い方は様々想像できます

メニューを見てみると、様々な海外のビール、カフェオレに始まりたくさんの紅茶などのカフェメニューが揃っています。

食事の方はというと、ハンバーグ定食やドライカレーなど、お腹を満たすには十分なラインナップです。のんびりとお昼ごはんをたべて、ゆっくりとコーヒーをすすることもできれば、ちょっと一杯という使い方だってできます。

少々空腹だったので、FHBセット(ドライカレー+ハンバーグ)を注文し、コーヒーも追加しました。そして、読みかけの文庫本を取り出し、ページをのんびりとめくります。

BGMの音量は控えめで、店員さんも小声でしゃべるため、スルスルと本の内容が頭に入ってきます。

ここらへんの小さな配慮は実はカフェにとって、とても大事なことですが、しっかりしているなあと感じました。

しばらくするとFHBセットが到着。ハンバーグは懐かしさを感じるソースで食が進みます。

ドライカレーは、単にカレー粉をまぶして炒めたようなものではなく、おそらく別に作ったカレーをご飯と混ぜつつ丁寧に炒めたであろうという味でした。「そうだ、このお店は色々と丁寧で真面目なんだな」と気付かされます。どんな定食を頼んでもお味噌汁がついてきます。FHBセットもしかりで、ちょっと飲むタイミングには迷いが生じますが、ありがたく飲み干します。

順当にすべてを平らげて、ゆるーくコーヒーを飲みながら時間をつぶします。

スマートフォンの充電も、足の元気も満タンになったところで、気持ちよくお店を後にしました。

 

「息抜きが必要だよ」と、お店に言われるとはなぁ

お店を後にするときに、ひとつ気になるメニューを遅ればせながら発見してしまいました。

それは、「路地裏スペシャル えびカツ丼」なるもの。盛りの量に応じて「Lv.ハルカス ガチ盛り 1000円」、「Lv.バベル 魔王盛り 1200円」という、挑戦心をあおるものです。

是非、お腹と背中がくっつきそうな状態でやってきて挑んでみたいものだと思いました。

このお店は、誰にも邪魔されずのんびりと時間を使いたい時や、歩き疲れたときにうってつけの“日本橋のオアシス”です。

お店のトイレの壁に書かれていた「YOU NEED TO HAVE SOME BREATHING TIME(あなたには息抜きが必要だよ)」という言葉が、このお店の存在価値をきちんと表しているように感じました。

 

店舗情報

店名:cafe foresta

住所:大阪市浪速区日本橋4−5−24 BSTビル1階

電話:080−9608−2032

営業時間:平日12時〜23時、土日祝10時〜23時

フェイスブック:https://www.facebook.com/kyoforesta/

ツイッター:https://twitter.com/cafeforesta2