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日本橋界隈はなにもアニメ関連のショップやトレーディングカードのお店だけが目玉というわけではありません。少し足を伸ばすと「黒門市場」があります。

黒門市場には、新鮮な魚介類を扱うお店が軒を連ね、安くて質の良い果物を扱うスーパーなどもあります。ふらっとおとずれて、今日の夕飯のおかずを買うというのが楽しい使い方と言えるのではないでしょうか。

特に、魚介類は目を見張るものがあります。「新鮮な大間のマグロがこんな値段で買えるのか!」と驚いたり、「てっちりってこんな量なのにこんな値段で買えていいのだろうか」と驚いたり。楽しさがつきません。

もっとも、最近は海外からの旅行者が大挙して押しかけているため年末でなくてもかなりの混雑を覚悟しなければなりません。大きなかばんを抱えてうろうろしていると、けっこうぶつかったりします。

また、たくさんのお店を行ったり来たりして品定めをするため、当然ある程度歩くことになります。したがって、疲れます。そんなときに悩むのが休憩スポットです。

人手が多いため、穴場的に休めるところを把握しておかないと、すぐに体力的に参ってしまいます。

今回は、そんな黒門市場で「ここぞ!」という休憩スポット、つまりは喫茶店をご紹介いたします。

 

昔ながらの純喫茶

 

純喫茶。そう聞いて心が躍るアラフォー世代は多いのではないでしょうか。

クッションが効いた重厚なレザー調のソファ。同じく重厚な机。ドアを開けるとただよう珈琲の香り。当然のように全席喫煙設定。サイドメニューの気軽にチョイスできるトースト類。スポーツ新聞がひと揃い置いてあるなどなど。純喫茶としてのチェックポイントをすべてクリアするのが、「伊吹珈琲 黒門市場店」です。

まずは行き方について。千日前通り沿いの黒門市場入り口から南に進みます。そして、はじめて出くわす十字路に来たら左折。松屋町筋に向かって歩いていきます。すると、1~2分も歩かないうちに、南側の通り沿いにお店が現れます。

古きよき喫茶店という店構えが突如として現れますから見逃さないはずです。

 

お店に入るとそこは昭和だった

 

トンネルを抜けるとそこは雪国であった。ではなく、「扉をくぐるとそこは昭和であった」です。

あくまでレザー調で実際はビニールのソファが所狭しとならび、ちょっとすすけた壁紙にディープなブラウンの木の柱が「ザ・昭和」。メニューはこれまた茶色いビニールレザーの装丁です。完全に時代が止まっています。

そして、きっと何年も通っているであろうおっちゃんたちがスポーツ新聞を読みふけり、おばちゃんたちは最近放送されているテレビドラマについて熱心にしゃべっています。

純喫茶ここに極まれり。ちょっとニヤニヤしてしまいます。ウキウキする気持ちをおさえて、席に着き、そしてメニュー表に目をやります。

ホットコーヒー(480円)、そして純喫茶には必ずあるアメリカンコーヒー(480円)、くわえてコーヒーフロート(630円)と、期待を裏切らないコーヒー関連のラインナップ。

もちろん、大阪の純喫茶といえばミックスジュース。こちらは「フルーツたっぷりのスペシャルミックス!」とびっくりマークつきでアピール。お値段は600円と適正価格です。

やや歩き疲れていた私は、甘いものが飲みたかったので有無を言わさずミックスジュースをオーダーします。

 

ミカン強し。疲れた足に染みる味

 

こちらのお店の特筆すべきポイントは提供スピードです。オーダーを通して、ソファにもたれて、「どれLINEのチェックでも」とスマートフォンを取り出すと、すぐにミックスジュースがやってきました。ジューサーでまぜる時間はあったのか?と思いましたが、まあよしとします。歩きつかれた体には一刻も早く冷たい糖分の補充が求められていたからです。

おもむろにストローを取り出し、ジュースをすすると、安心感のある味が口いっぱいに広がります。ミカンをベースにしたやや酸味の強いミックスジュース。「これやなあ。大阪のミックスジュースの味は」と納得です。疲れた体、そして歩き回って棒のようになった足にとにかく染みます。

私もほかのおっちゃんたちと同じようにスポーツ新聞をゲットしてプロ野球の結果に目を通しつつ、ゆるりとした時間を過ごします。

 

お店の人の会話に聞き耳を立てるのも一興

 

こうしたディープな純喫茶の楽しみ方のひとつに、お店に訪れている人の話に耳を傾けるというものがあります。聞き入るではなく、ぼんやりとしていても否応なく興味深い話が繰り広げられています。

この日もスポーツ新聞を読みつつ人の話を聞くとはなく聞いていると、どうやら「おヤクザさん」と武勇伝をしゃべり、それに感嘆の声を上げる「愛人」と思しきカップルの話に出会いました。もちろん、怖くてそのカップルの方を見ることはできませんでしたが。

そうかと思うと、日本の教育問題について激論を交わす老夫婦がいたりと、バラエティの豊富さに驚きます。さすがに内容の詳細はプライバシーの問題もあるため書くことははばかられますが、思わずウンウンとうなずいたり、ニヤリとしてしまったりするような話が聞けるのが楽しいところです。

 

コーヒーはコク深い味わい

 

やや脱線した楽しみ方を提示しましたが、こちらのお店の「本丸」となるコーヒーはなかなか味わい深いものだということも付記しておきたいところです。

大阪において純喫茶で好まれるコーヒーは「コク深さと味の濃さ」という傾向があります。それゆえに、そうしたタイプのコーヒーが苦手という人のためにアメリカンコーヒーが用意されていると言っても過言ではないのではないかと思われます。

伊吹珈琲の「ホットコーヒー」も、この「コク」と「濃さ」を備えたものです。特に寒い日に黒門市場まで買出しに出向いてちょっと休憩がてらこちらのコーヒーを飲むと、なんだか救われたような心地になります。おすすめは少しだけフレッシュをくわえて味をマイルドにしてチビチビとすする飲み方ではないでしょうか。

 

伊吹珈琲は、大晦日近くの黒門市場最大の繁忙期を除いて席が満杯で入れないということはありません。加えて、外国人旅行者も少ないという特徴があります。

黒門市場であれこれと買い物を楽しむ途中で一息入れるにはうってつけのお店だと思われます。もちろん、私のように大阪のおっちゃんたちのオモロイ話を聞きに行くという楽しみ方もいいのではないでしょうか?お近くに寄られたときは「話のネタに」訪れてみるのも一興です。

 

伊吹珈琲 黒門市場店

住所:大阪市中央区日本橋1丁目22-31 黒門市場内

電話:06-6632-0141

営業時間:月曜~土曜 7時~20時 日・祝 6時~19時

定休日:元旦のみ