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大阪市内で焼肉屋と言えば、真っ先に思いつくエリアは「鶴橋」ではないでしょうか?例えば、ホルモンで有名な「空」や、泣く子も黙る「アジヨシ」など、「そりゃあ知っているよ!」という有名店が軒を連ねています。

しかし、そんな焼肉界の巨星たちと肩を並べる肉質を誇る店舗が日本橋近辺にあるのです。その名は「多平」です。

良い焼肉屋の基準は?

しかし、良い焼肉屋の基準とは何でしょうか?焼肉は、読んで字のごとく「肉を焼く」だけの料理です。せいぜい、タレの味が違ったり、肉をどの程度熟成させたりという違いがある程度ではないでしょうか。それゆえに、人による評価は異なり、混沌を極めていると思われます。そこで私が提唱したいのは、「肉質、盛り、価格」の3つで考える評価です。簡単に言ってしまえば、コストパフォーマンスです。それこそ、北新地や心斎橋に行って1人前3000円オーバーの上ロースを注文すれば、そこそこ幸せな気持ちになれます。しかし、お金を出せばおいしいものが食べられるのは当然です(むしろそれで美味しくなければ問題です)。要は、「こんな金額でこんなにおいしい肉にありつけるのか!」という感動があるかどうかこそが、良い焼肉屋の判断基準だと思うのです。

ちなみに、接客マナーなどは不問です。結局焼肉屋さんは、「肉と私」の対話を楽しむ場所であって、接客でおいしさは変わらないと考えるからです。

この基準にのっとって考えたときに、「多平」は間違いなく大阪でもトップクラスの「驚き」がある焼肉屋さんだと言えます。

 

お店は「ちょっとだけ」日本橋からは外れるけれども

 

相当ハードルを上げてしまいましたが、そんなおすすめの「多平」に訪れることにしました。お店の場所はややわかりづらさがあります。南海難波駅から、難波西口に出て阪神高速1号環状線(パークス通り)をくぐります。そして、少しだけ難波中1丁目方面に歩くと、すぐさま左に入れる細い路地が見えます。その路地を進んでいくと、どーんと「焼肉」という文字が描かれた大きな看板が目に入ります。もっとも、ひとつめの看板は、「ダミー」です。もう少し進むと、青いのれんに赤い文字で「多平」と書かれた店舗が見えます。こここそがお店です。

日本橋界隈か、と言われるとやや答えに窮しますが、そこはぜひ大らかな心で了承してもらえれば幸いと考えます。

 

来訪時間にはご注意を

多平に行く際には、いくつかの注意点があります。

まず、3人以上でなければ予約が入れられないということです。これは、3人以上で、はじめてテーブル席を確保できるシステムのためです。そのため、2人で店に行く場合、満席かもしれないことを覚悟してうかがう必要があります。

「そんなにすぐに埋まるのか?」と思うかもしれませんが、本当にいつも混雑しています。昼は11時半から営業をしていますが、以前「ひとり焼肉」を楽しむために11時40分に行ったところ、すでに9割方の席が埋まっており、カウンターの隅っこにようやく座れたという経験がありました。

夜に行く場合はなおさら注意が必要です。狙い目は、1回転後の時間帯。おおむね夜の9時前付近であれば、席を確保できる確率は高いものと思われます。

「それでは1時間しか楽しめないではないか」という声が聞こえてきそうですが、「1時間でも十分にひっくり返るくらいうまさに驚ける」ので安心してください。

 

目指すべきはこのオーダー

 

多平に訪れたら、確実におさえておきたいメニューがあります。まず、「上タン」(1100円)です。

多平で上タンをオーダーすると、そっけなく「塩ですか」「タレですか」と聞かれますが、まちがいなく塩です。タンの脂から生じる旨味が存分に味わえるからです。肉質については申し分無し。前歯でサックリと切れるほどやわらかく、その瞬間にコクの有る肉汁が襲い掛かってきます。何よりも嬉しいのはその厚み。アルミ皿で供された際に、「他の部位とまちがったんちがう?」と思うほどの分厚さがあります。

次に頼むべきは、間違いなく「上ロース」(1500円)です。そして、これをオーダーした時には、是が非でもライスを注文してください。半生で焼けたところを、タレにちょいちょいと浸して、ライスをぐるりと巻き込んで食べると、「明日死んだとしても悔いはない」と思うはずです。

ちなみに、「ロース」(1150円)も食べたことがありますが、差は確実にありました。もっとも、通常のロースですら、そこいらの焼肉屋が束になってもかなわない芳醇な味だったことは付け加えておきます。

最も高いメニューでも上ロースの1500円という良心的な価格設定です。大人二人でさほど酒量がかさまなければ、1万円で十分にお釣りが来て、食後のコーヒーをどこか別のお店で楽しむことができます。

そして、意外におすすめなのが、「キモ」「心」、そして「テッチャン」のホルモン3兄弟です。

まず、キモは言い換えればレバーです。これはできれば半生で攻めたいところ。新鮮なため、臭みは一切なく、レバーの旨味が存分に味わえます。

次に「心」は、牛の心臓です。ややレバーと味の系統は似ていますが、食感が大きく異なります。イメージとしては質の良いタンの「さっくり感」に似た歯ごたえが面白い一品です。

そして、「テッチャン」。牛の大腸や小腸を意味します(お店によっては大腸のみを表すケースもあります)。多くは語りません。ぜひ、「脂身の妙味」を味わってください。お酒が好きならば、ビールをグビグビやりながら。お腹が空いていれば、ワシワシ飯をかき込みながら、脂まみれになるのが正しい食べ方だと思われます。

その他にも、変わり種としてはにんにくのホイル焼きなども捨てがたいのですが、そこは来訪時のお楽しみ。気の向くまま、欲望のおもむくままにあれこれ注文するのが焼肉屋さんの楽しみ方の王道なのですから。

 

最後に、接客は目をつぶろう

もっとも、多平において接客はあまり期待してはいけないと思われます。そもそも、ご主人とその奥さんを中心に、アルバイトの方が1人というこじんまりしたお店です。にもかかわらず、矢のように降り注ぐオーダーをさばいているわけですから、応対がセカセカしてしまうのは仕方がないというものです。

結構な確率で頼んだオーダーが到着していないという事態に陥りますが、そこは寛容の精神で、「すみません、まだ○○が来ていないのですが」とニッコリ笑って言うのが大人の対応だと思われます。

さて、今回はできるだけ客観的にまとめました。というのも、あとは皆さんに「体験を通じて驚いてほしい」からです。ぜひ、ご訪問の上、よき肉に巡り会えることをお祈りしております。

 

多平(たへい)

住所:大阪市浪速区難波中1-15-3

電話:06-6632-6375

営業時間:11時30分〜22時

定休日:第二、第三水曜日