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本当においしいおはぎを食べたことがあるでしょうか?「そんなのデパ地下に行けば買えるでしょ」と返答が返ってくるかもしれません。さらに言えば、「そもそもおいしいおはぎなんて、別に食べたいとも思わない」という人だっているかもしれません。

ですが、自信を持って言いましょう。日本橋には、おはぎ観、いや人生観を変えてしまうおはぎ屋さんがあります。

電気街、萌え文化の街というイメージが日本橋にはあります。ですが、だれが和菓子の名店があると思うでしょうか。そもそも、和菓子と日本橋はなんとも不釣り合いな言葉です。しかも、ちょっと格式の高い和菓子屋ではなく、「おはぎ屋」ですから。今回は、そんなおはぎの名店をご紹介いたしましょう。

長蛇の列。1〜2時間待ちは覚悟すべし

 

まずはじめに言っておきましょう。今回ご紹介する「玉製家」さん。おはぎを購入するまでに、軽く1時間、場合によって2時間は待つことを覚悟しておいてください。

お店の場所は日本橋1丁目交差点から、千日前通をやや心斎橋方面に行ったところ。千日前通の北側にあります。

実際、私はこのお店に3度訪れましたが、はじめて訪れたときは2時間。今度は開店直後を狙って訪問するも、すでに開店前から長蛇の列ができており、そのときは1時間半並びました。

今回は同じ過ちをしないようにしようと、開店時間の30分前、午後1時半に到着。するとどうでしょう。すでに10人ほどの行列ができていました。「30分前でこれか。。。おそるべし」と驚きましたが、さらに行列が長くなってはいけないと思い、そそくさと列の最後尾につけます。

時期は寒風吹きすさぶ2月の初旬。並ぶみんながダウンジャケットや厚手のコートに身をつつみ、震えながら待っています。

私はと言えば、万が一に備えて持参した文庫本が役に立ちました。手袋をはめていてページをめくるのが難しかったのはご愛嬌ですが、待ち時間を持て余すことはありませんでした。行列覚悟で訪問する場合、こうしたちょっとした準備をしておくと良いかと思われます。

しばらくすると、開店の時間。シャッターが開けられると行列がざわつきます。

そりゃあそうです。すでに1時間近く、寒空の中待っていたのですから。待ちきれなくてグズりだす子供も見受けられました。このお店の行列に並ぶ場合、子供連れというのは避けたほうが良いのではないかと思います。

もっとも、開店してからも行列の消化は極めてスローペースです。

ようやくお店に入れたのは開店してから45分経過した2時45分でした。結局のところ、今回も1時間オーバーの待ち時間だったわけです。

 

おはぎマダムに迎えられて

凍えた体でお店の引き戸をくぐると、温かい店内が天国のように感じます。

お店の中はパッと見て3畳ほどのちいさな店舗木枠のガラスケースには6個入り(907円)、8個入り(1117円)、10個入り(1397円)、15個入り(2094円)とサンプルが並べられています。

ガラスケースの向かいには注文を終えて、おはぎを待っているお客さんが座る椅子が3脚並べられており、みなさん行儀よくお待ちになられています。

「いらっしゃいませ。寒い中ありがとうございます。おいくつにいたしましょうか?」優しい笑顔のおかみさん、いや、マダムがカウンターから呼びかけてくれます。並んでいたのを気遣う一言に、なんだか救われた気がしました。

「10個入りを1つ。それから8個入りと6個入りを1つずつ」と、ご近所に配る分も注文しました。

「ありがとうございます。15個入りだと、3種類のお味を詰め合わせできますが、よろしいですか?」と問われたので、「はい。それぞれつぶあんときな粉の半々でお願いします」と応じた。

このお店のおはぎは「こしあん」「つぶあん」「きな粉」の3種類があります。6個入りから10個入りまでは、3種類の中から2種類を選べます。もちろん1種類でもOKです。15個入りからは、3種類の味を5個ずつ詰め合わせることが可能です。私やご近所の人は、みんなつぶあん党なので、つぶあんときな粉の半々で揃えることにしました。

 

帰宅の道のりがこれほど待ち遠しいことはない

注文を終え、椅子に腰掛けると、結構な時間を待たされます。

というのも、このお店はお客さんからの注文が入ってから、ひとつずつ丁寧におはぎをつくり、箱に詰めていきます。作り置きはしないのです。そのため行列は長くなるし、待ち時間も長時間化します。

それでも作り置きをしない、できたてをお客さんに提供する。そこにポリシーがあるのです。

袋に詰められたおはぎを手渡されると、自然と心がウキウキします。早く家に帰らなければ!お店を出ると、私が並んでいたときよりも更に長い行列ができていることに驚きます。「がんばってください」と心の中でつぶやき、地下鉄の出入り口に急ぎました。

帰宅の道中は気もそぞろ。ご近所にさっさとおはぎを配り、早く自分のおはぎにありつきたい。このことしか頭にありません。

 

いざ実食。もはや「おはぎ様」です。

 

ご近所におはぎを配り、帰宅。すると、奥さんは準備万端。熱い煎茶をいれてリビングで待っていました。「できる嫁だ」と思ったものです。

そして、いざご開帳。紙袋から取り出し、丁寧に袋を開けると、なかには行儀よくきな粉とつぶあんのおはぎがならんでいます。

特徴的なのは、「あんでくるまれている」という感じではなく「あんに埋まっている」という見た目であることです。

取り出すためにはお箸などを用意すべきでしょう。というのも、やわらかく丸められているため手でつかむと崩れかねないからです。

私はあんもキレイにすくいたいため、カレー用のスプーンで小皿に移し替えて食べます。

口に運ぼうと小皿のおはぎを手に取り、もちあげると、重力に負けておはぎが割れそうになるほどのやわらかさ。「おっとっと」と思いながらハムリとかぶりつきます。途端に、口の中でやわらかくばらけるもち米。咀嚼するとあんこのやさしい甘みと、もち米のふっくらした食感がひろがっていきます。奥さんと目を見合わせ、お互いに目尻が下がっているのを確認してしまいました。

無言のまま1個食べた後に、煎茶をすすると、自然に「あーーー」っと幸せなため息が漏れました。言葉はいりません。ただ幸せだなと感じるのです。

もはやおはぎというお菓子の領域を飛び越えて、神様かおはぎ様かというレベルのお味。並ぶ価値はあるはずです。

きな粉ももちろんその領域です。我が家の娘は、きな粉をすべて食べ終わった後、丁寧にティースプーンで箱の中のきな粉をかき集め、それだけを食べては「おいしいおいしい」とはしゃぐほどです。

ほぼ2時間の列は覚悟、となりますが、神がかったおはぎを食べてみたいという方であれば是非。個人的には「死ぬまでに1度は食べて欲しい」と思うお店です。

 

玉製家

住所:大阪市中央区千日前1−4−4

営業時間:14時〜 売切れ次第終了

※結局2時間程度待つため、開店1番目の訪問を狙い、一時間まえくらいから並ぶのが良いと思います。

定休日:木曜日、日曜日、祝日

※ただし、年末やお彼岸、お盆期間中は営業しています。