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日本橋はカレー激戦区です。オタロードを中心に、一本筋を入ったところ、あるいは堺筋沿いをぶらつけば、「ああ、ここにもカレー屋さんがあるなあ」と気づきます。それゆえ、新規に来店した人の心をがっちりつかまえないと、次の来店は望めない。それほど、「ここがダメなら別の店へ」と考えられるエリアなのです。したがって、お店側も、目新しさがないと生き残っていけないのは事実です。もちろん、カレーですから、「手軽」かつ「おいしい」というのは必須項目。だからこそ、生き残りは大変なのです。

つい先日も、実はひいきにしていたお店がひっそりと閉店していました。競争は苛烈なのです。そんななか、新しい仕組みと本格的なスパイスカレーを売りに、勝負を仕掛けているお店があります。今回は、その店舗を紹介します。

タケル近く。裏手にひっそり店舗を構える

 

行き方はすごく簡単です。ドトールコーヒーが面したオタロード入り口から南に進みます。そして、初めて出会う十字路を左折。直進すると、右に曲がる細い路地が見えてきます。おそらく、タケル系列の牛かつ屋さんの行列が目に付くはずです。その行列を横目にみつつ、細い路地に入っていくと、すぐに黄色い看板が見えてきます。カレー皿をかぶったおじさんの看板なので、間違うことはないはずです。お店の名前は「カレー食堂マッハ」。日本橋っぽいネーミングです。

 

セルフスタイルのカレー店

 

お店に入るとまず驚きます。というのも、右手にあるカウンターに「まいどおおきに食堂」のようなスタイルでさまざまな揚げ物や惣菜が並んでいるためです。そう、このお店は「セルフスタイル」のカレー店なのです。

「いらっしゃいませ。サイズはいかがいたしましょうか?」と女性の店員さんが声をかけてくれます。カウンターの一番右端でまずカレーのサイズをチョイスし、そこに好きなトッピングを取り、最後にお会計をするというスタイルです。カレーのサイズを注文する場所では、お皿のサイズとご飯の量の目安を示したサンプルが並んでいます。まるで、カップのサイズが並べられたスターバックスのようなイメージといったところでしょうか。大で900円、中で600円、小で400円。カレーだけ食べたとしてもけっこうお安く済んでしまうところがうれしい限りです。

「ちょっとトッピングを楽しみたいな」と思い、ご飯の量は少なめの中をチョイスしました。すると、女性店員さんがてきぱきとアルミ皿を取り出し、その中央に所定の量のライスを盛り付けて手渡してくれます。「なるほど、ここにトッピングをしていくのか」と合点がいき、お皿を受け取りました。

 

トッピングに迷うこと間違いなし

 

 

いざトッピングを、と思ったもののこれが意外に迷います。限定品のハンバーグ、メンチコロッケ、辛味を足したい人向けのチリビーンズ、自家製のから揚げなどなど。スパイスを楽しみたいという人にも、ガッツリ色々トッピングしたいという人にも受け入れられるような品々が並んでいるではありませんか。

「うーん」と悩んだ挙句、メンチコロッケと自家製から揚げ、そしてポテトサラダをチョイスしました。

「ん?肝心のカレーはどうするのかなあ??」と思い、トッピングのカウンターを進むと、寸胴なべが2つ置かれています。そこには、「オリジナルカレー」と「エビチリカレー」なるポップがすえつけられているではありませんか。

なんとこのお店、ルーは盛り放題なのです。普通のカレー屋さんならば、ルーの大盛りをすればそれだけで別料金を取るところですが、太っ腹です。うれしくなってオリジナルカレーをたっぷりとお皿に注ぎます。

ところが、このお皿、平皿なので注ぎ方によってはカレーがお盆にこぼれてしまいます。実際、私の下手くそさ(そして欲張りな根性)もあって、お盆にあふれてしまいました。「あわわわ」と思いましたが、後の祭り。もうこうなったらそ知らぬ顔でお会計を済ませるしかありません。

若干よごれたお盆をもってお会計をすると950円なり。安い。カレー屋さんでトッピングをしてルーをてんこ盛りでこのお値段は間違いなく合格点です。

ちなみに、あとから気づいたのですが、トッピングは備え付けの小皿に取ることもできます。私のようにご飯の上にトッピングをしてカレーをかけるとこぼれる恐れがあるため、ルーをたくさん食べたいという人は潔くトッピングは小皿に取ったほうが賢い選択と言えます。

さらに後で気づいたことですが、このお店2種類のルーをかけたとしても同じ料金です。つまり、「相がけカレー」が同一料金で楽しめるというのもポイントです。カレーがこぼれるというミステイクであたふたしていなければ、相がけをしたと思います。なんとも自分の欲張り魂に歯がゆい思いをしてしまいました。

 

お値段以上の本格スパイスカレー

 

さてさてお味は?とばかりに席につくと、またもうれしい発見に出会いました。机の隅に「チリピクルス」と「フライドオニオン」のトッピングが用意されています。

前者はもちろん辛味の調整に、後者は食感の変化と甘味の追加に。いずれも気の利いた脇役たちです。私はもちろん、両方ともワサッとカレーに投入しました。

「では、まずカレーをば」と一口食べてみます。するとどうでしょうか。セルフスタイルのカレーとは思えない、複雑にスパイスが絡み合った味。昨今、大阪市内のカレーにおける流行をきちんと踏まえた奥行きがある本格派に仕上がっています。最初に甘みと、おそらくは八角などのスパイスだと思われる香ばしさが来たと思うと、ジワリと辛味が攻めてきます。もっとも、「激辛」というわけではなくて、一定のペースで食べ進められる程度に調整されているのがうれしい限り。もし日本橋界隈で働いていたら、「お昼にサクッとスパイスカレーを食べたい」と考えたらこのお店をチョイスするだろうと思わせます。

メンチコロッケもしっかりとお肉の味が楽しめますし、自家製から揚げは衣に手が込んでいてそれだけでもビールのつまみになりそうなレベル。なかなかどうして手抜きがありません。

なにより一番気に入ったのは、カレー自体もトッピングも「脂っこくない」ところです。カレー屋さんでよくある食べた後の嫌な満腹感がありません。むしろ、「この後どこかでデザートでも食べたいなあ」と思わせるちょうどよいボリューム感。こんなお店が家の近くにあれば通うのになあ、とつくづく思ってお店を後にしました(汚れたお盆に負い目を感じながら)。

 

(店舗情報)

カレー食堂マッハ

住所:大阪市浪速区日本橋3-8-2

電話:06-6648-9100

営業時間:11時30分~20時30分

定休日:木曜日