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昨今、さまざまなタイプのラーメンが増えました。東京の「ラーメン二郎」にインスパイアされたこってりどか盛り系のラーメン。替え玉を楽しむ九州とんこつ系ラーメン。ラードを上からかけた、熱々味噌ラーメン。ジャンルを言えばきりがありません。

多様なラーメンを食べていると、「原点回帰」として王道の醤油ラーメンをすすりたくなる瞬間が訪れます。そんなときに是非足を向けたいお店が日本橋にあります。それが「友愛亭」です。

お店の外観に「意気」を感じる

 

お店の場所は、堺筋の日本橋4丁目交差点から、やや北上します。左をずーっと眺めながら進むと、細い路地が現れます。そのなかほどにラーメンが描かれた大きな布製の看板があらわれるのでわかりやすいはずです。

「友愛亭」という優しげな名前とは裏腹に、お店の外観にはラーメンに対する熱い思いがほどばしっています。というのも、目印になるその看板には、「真っ直ぐな正油ラーメンやってます」とのキャッチコピーが描かれているからです。

「醤油」ではなく「正油」です。

そのほかの看板には、「正油ラーメン専門店」という文字も見受けられます。しかも、「正」という部分が赤文字で染め抜かれています。一本気な感じが「うむうむ」と納得させられてしまうところです。気をよくしてお店に入ります。

 

ボクシング好きなことが容易にわかるメニュー

店内は、キッチンと向き合うカウンターと、4人がけのテーブル席がいくつか備え付けられています。もっとも、4人がけの席のひとつには、おそらくラーメンの材料と思われるものが載っていて機能していない状態でした。先客が何人かおり、カウンターでラーメンをすすっています。

「いらっしゃいませー」と生真面目な感じの声が飛んできます。もっとも、店員さんはなにやらするどい目線。ふと、「表情にまで生真面目さが出ているのか」と頭によぎります。

カウンターの席に腰を下ろし、メニューに目をやると思わず2度見してしまいました。というのも、ラーメンの名前が「右ストレート」(700円)「カミソリパンチ」(700円)「ヘヴィー」(700円)、さらには「浪速のジョー」(750円)と明らかにボクシング好きであることがうかがえる内容だったからです。

ここで、はたと「そうか、あの表情はひょっとしたら店員さんもボクサーなのかも」と思った次第でした(もっとも、ちょっと聞きづらくて真相はわからずじまいだったのですが)。

先にまとめたメニュー名だけでは皆目内容がわかりませんので少々補足を。右ストレートは、「まっすぐな正油ラーメン。当店の基本。KO必至」との記載があります。

一方、カミソリパンチは「切れ味を追求した淡口正油ラーメン」とのこと。ヘヴィーは、「マイクタイソンを意識した濃厚なたまり正油を使ったラーメン」。浪速のジョーは「複数の正油をブレンドした中華そば。あの人にも食べていただきたい」との記載まで。無論、あの人とは辰吉丈一郎のことです。

どのラーメンもほとんどが700円台です。平気で1000円の値段をつけるラーメン屋さんが増えてきている昨今、この値段設定にまで真摯さを感じます。

 

クリーンヒットする「右ストレート」

 

はじめての訪問だったため、基本となる「右ストレート」をオーダーしました。加えて、サイドメニューの「バタめし」(250円)も追加しました。

ほどなくしてラーメンとバタめしが到着。ラーメンは、やや濃厚さを感じる黒味がかったスープに、きれいな油が浮かんでいます。そこに行儀よくシナチクと厚切りのチャーシュー。そして半熟煮玉子とほうれん草がトッピングされています。「うん。端正な面構えだ。真っ向勝負という感じがするぞ」と、見た目だけで期待感が高まります。

いざひとすすりすると、醤油の芳醇な香りと、油のコクがスッと舌の上にやってきます。麺をズズッとすすると、のど越しの良さに驚きます。「完璧なバランス」思わずつぶやいてしまいました。まさに、右ストレートがクリーンヒットした瞬間です。チャーシューもやわらかく、脂がしつこくないのがうれしいところ。個人的に、ひっそりとではありますが評価が高かったのは、シナチクがしっかり分厚く臭みがなかったというところです。スープやチャーシューにこだわるお店は多々ありますが、こうした付け合せまで手を抜かないお店が実はそれほど多くはないためです。あえて四文字熟語で言えば「質実剛健」なラーメン屋さんだと感じます。

食べ終わった後に、舌の上に化学調味料のしつこさが残るのは嫌なものですが、このラーメンは一切そういうことはありませんでした。スープの濃度もバランスが取れていた証拠だと思われます。

 

「バタめし」は名セコンド

 

サイドメニューで頼んだバタめしは、ひとことで言えば「楽しい」。熱々のご飯の上に、お店の特製醤油とバター、きざみ海苔が載っています。バターはほぼ溶けた状態ですが、飯粒の表面がテカッているので、かなりの量が投入されていることがうかがえます。そのまま掻きこむのではなく、グシャグシャとバターと醤油、ご飯を混ぜてすするように食べることになります。

もちろん、このお店特製の「正油」ですから、まずいわけはありません。海苔の香ばしさに、醤油のうまみ。さらにはバターの滑らかさが加わって「ラッシュ」をかけられます。バターが載っているため濃厚なはずなのにペロリといけてしまいます。食べきった後に、ミット打ちに付き合ったボクシングトレーナーのような気分になったのが自分でも面白くなってしまいました。

男性ならば、ラーメンを何か1種類。そしてサイドメニューとして何かごはんものを頼むと、きっちりお腹いっぱいになるボリューム感です。

 

こうなってくると、そのほかの「正油」ラーメンも味わってみたくなるものです。絶対再訪、いやリターンマッチするぞと心に決めて、お会計を済ませお店を後にしました。再度、写真を撮ろうと店先の看板をよく見てみると、おそらくボクシング雑誌から切り抜いたと思われるボクサー達の写真が目に付きました。今度来るときは、お店の人に「いま注目のボクサーは誰ですか?」と話を振ってみるのも面白いかな、と思った次第です。

友愛亭

住所:大阪市浪速区難波中1-15-3

電話:大阪府大阪市浪速区日本橋4-12-1 マルタビル 1階

営業時間:(火曜日~金曜日)11時〜15時30分 17時~21時

(土曜日、日曜日)11時~21時

※ラストオーダーは閉店時間30分前

定休日:月曜日