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油そば、というものを知っている方はどの程度いるでしょうか?関西であれば、ラーメンはもちろんですが、つけ麺は一般化したものと考えられます。しかし、油そばは「知らない」もしくは「知っているけれども食べたことがない」という方が大半なのではないでしょうか?

油そばは、簡単に言ってしまえば「スープのないラーメン」です。そのかわりに、基本的に油や薬味を麺にからめて食べます。スープがないために、麺自体のおいしさが問われる食べ物と言えます。加えて、薬味や油だけでその店の「個性」を出さなければならず、それゆえに生き残りは大変と言える麺のジャンルではないでしょうか。

今回、紹介するのは「きりん寺」というお店。実は、日本橋に「大阪総本店」があります。このきりん寺は、つけ麺で有名な「雀グループ」が手掛けるお店で、最近急激に店舗数を伸ばしており、東京発の油そばが関西でも一般化するのかどうかが注目されています。

日本橋に進出した油そば界の巨艦

 

さて、そんなきりん寺大阪総本店は、非常に分かりやすい場所にあります。恵美須町駅を下車して、1-B出口に出ます。すると堺筋の日本橋5丁目交差点に到着しますが、その西サイドの角にお店があります。特徴的な白い看板に「油」と大きな赤い文字が目に飛び込んでくるため、まず迷うことはありません。日本橋に油そばの巨艦が存在するかと思うと、「麺カルチャーの発信地でもあるのかあ」と、なんだか感慨深いものがあります。

さてさて、お店の中に入るとコンクリートの打ちっぱなしを基調に、きれいに清掃の行き届いた木のカウンターと4人掛けの席がいくつかならんでいます。このコンクリートプラス木という店舗デザインは「雀グループ」の特徴でもあると言えます。

きりん寺は食券制です。着席前に食べるメニューを選ぶことになります。今回は、「全部のせ油そば」(950円)と、「ご飯」(100円)を注文することにしました。

ご飯プラス麺で1000円を超える価格設定。しかも汁無しと考えれば、若干割高感があることは否めません。

 

油そばの「作法」

 

 

席に着き、5分程度待ったところで件の「油そば」が到着。ご飯もやってきました。

まっしろい、清潔な丼の中には、麺、それを覆い隠すチャーシューちゃん。半熟玉子にシナチク。さらには刻み海苔と、たっぷりのゴマがあることがうかがえます。丼の壁面には、赤い「油」の一文字が描かれ、「イケメン」な見た目です。

もりつけの美しさに目を奪われているところに、油そばに不可欠な「ラー油」と「お酢」もスッと置かれます。

油そばは先に書いたように、基本的に油や薬味を麺にからめてすすります。そこで、味の調整を行う武器がラー油とお酢なのです。

実際、席には「油そばのおいしい食べ方」なる張り紙があり、(1)一番最初にお酢とラー油をかける(2)丼に1~2周はお酢とラー油をかける(3)豪快にまぜる、と3ステップが丁寧に書いています。

少し驚いたのは、ステップ1の詳細な説明において「油そばは、さめると急激にまずくなります」と正直に書いていたことです。アツアツでなければ油が麺にうまくからまないからだそうです。

私は、若干お酢が強めの方が好みということもあり、「お酢は3周、ラー油は1周」というマイルールを設けています。今回もその食べ方で、スルリとまわして、エイヤと豪快に混ぜます。混ぜるときのポイントとしては、円を描くように麺を混ぜるのはもちろんですが、「天地返し」をアクションに組み込むことです。こうすることで、丼の底にたまっていた油やタレがまんべんなく麺にからみます。

ちなみに油そばを混ぜるときに毎回悩むのが「チャーシューちゃんをどうするか」です。食べるときには楽しみなのですが、混ぜるときにはちょっと邪魔なのです。私の場合は、いったん丼の壁面に張り付けるように移動させて、麺やタレ、半熟玉子を混ぜたのち、最初にあった位置にチャーシューちゃんを戻すという作業を行います。というのも、麺をすすりつつ、時折麺をチャーシューで巻き取って食べるという「ローリング食べ」がお気に入りの食べ方だからです。こうすることで、肉のうまみプラス麺のうまみという二重の口福が得られます。

 

味は、正直に好き嫌いがわかれるところです

きっちり自分流の味に仕立て上げ、これまたきっちり撹拌作業が終わったら、実食です。

やはり特筆すべきは、シコシコするのに、もっちりとした食感も楽しめる麺です。太さはやや細めかもしれません。「ズルズル」とすすっているのに、のど越しは「スルスル」と気持ちよさがあります。噛みしめると、小麦のやわらかい甘みが感じられるため、食べる際は飲み込むのではなく、いったん咀嚼してから飲み込む方が適しているのではないかと思われます。

タレは、甘みのなかにピリ辛が程良く混ざっていてよい塩梅です。たっぷりのゴマ、そしてラー油の香ばしさが良いわき役っぷりです。

先ほど書いた「お酢を3周、ラー油を1周」という私の食べ方であれば、あっさりテイスト。ごはんを頼んできっちりお腹いっぱいという感じです。

もっとも、これまで味について書いてきましたが、油そばの味の決め手は、「ラー油」と「お酢」。自分で投入するスタイルのため、食べ手側の調整能力によって「うまい!」「まずい!」の最終調整がゆだねられていると言っても過言ではありません。

また、そもそも「汁のないラーメン」というスタイルですから、気に入る気に入らないは大きく分かれるのではないかと思われます。

したがって、「ぜひとも食べてほしい」という感じではなく、「好きかも知れないから、ちょっと試してみてください」というのが、このお店の(どなたかに薦める際の)感想かもしれません。

 

こんな麺の食べ方をしたいと考えるときに

むしろ、食べ方から「おススメ」のシーンはある程度想像できます。それは、「ラーメンほどヘビーなものはいらないが、パスタを食べるのはちょっと。焼きそばでは重すぎる」といった、「麺だけ食いたい症候群」に陥ったときにはおすすめだと思います。お酢やラー油で調整して、意外にもさっぱり麺を食べることができるためです。そんなときには是非に。

 

きりん寺 大阪総本店

〒556-0005

大阪市浪速区日本橋5-11-12

電話:06-6633-3037

営業時間:11時30分~16時30分 18時~22時

定休日:無休

ホームページ:http://www.suzume-group.co.jp/index.html