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ふと思うと日本橋は国際色豊かな町になりました。以前であれば、店頭のポップにハングル語や中国語の表記なんてなかったように思います。レジのカウンターにも「免税」という言葉は見かけなかったはず。

それが今や、道を歩いているとすれ違う人から聞こえてくる言葉は異国の言葉というケースが実に多いように思います。そうした人の多くはアジアからやってきた人たちです。中国、韓国、インドなどなど。

今や日本橋にはこうした人たちのためにサービスを提供するタイプのお店も増えています。例えば、帰国先へお土産を配達するのを代行する店舗だったりとか。

こうした海外からの訪問客が増えると食を提供するお店にも変化が現れます。要は、観光客向けにその国の料理を提供するお店が増えてくるという傾向です。

実際、日本橋からは少し離れますが、松屋町筋沿いには中国語しか聞こえないラーメン店があったりします。

さてさて、こうした海外の人向けの飲食店で気になる存在があります。それは、イスラム圏の人は日本で何を食べるのか?ということです。

ご存知の通り、イスラム教は食についての戒律があり、豚肉や酒は禁じられています。日本では、肉といえば豚もあれば牛もあり鳥だけを扱うお店はせいぜい焼き鳥やくらいなものです。

こうしたハラルフードを望む人向けのお店が実は日本橋にあります。ただ、だからと言ってイスラム系の人だけが楽しめるお店ではありません。むしろ、日本の人にもぜひ訪れてほしいお店があります。それが、「鶏そば あやむや」です。

 

ものは試しと入ったのがきっかけでした

 

実はこのお店、ものは試しにと入ったのがきっかけでした。

さかのぼる事半月ほど。帰宅のために道を歩いていると、黒板に「ハラルフード」の文字をみつけたのです。しかし、店舗の外観はどうみてもラーメン店です。「鶏そば」と書いています。「鶏だからハラルか」と納得したものの、それだけでは店に入ろうとは思いませんでした。

しかし、ガラス扉の向こうを見ると明らかにイスラム圏の人たちと思われるお客さんでごった返しています。家族連れが実においしそうにラーメンをすすっているではありませんか。「おいおい、ワールドワイドに受け入れられるラーメンなん?」と俄然興味が湧いてきます。こうなれば通り過ぎるという選択肢はありません。

ガラリと扉を開けました。

 

極々一般的なラーメン店。その中にあふれるイスラム圏の人

お店に入ると「グッドイブ・・・いらっしゃいませ」と店員さんが挨拶してくれました。確実に途中まで外国の方相手の体裁でしたが、訂正されました。それだけ日本人の来客が少ないのでしょう。入り口の右手には券売機が置いてあります。

予備知識がなかったため、一番オーソドックスだと思われる「鶏そば 醤油」(税込780円)を注文しました。券売機の品名にはそれぞれ英語表記もあるという外国向けの徹底ぶりです。

食券を持って店内を見回してみると、4人がけと2人がけの席がいくつか並んでいますが、そのすべてがイスラム圏の方で埋め尽くされています。さらに言えば、みなウンウンとにこやかにうなずきながら、なれない箸を使ってラーメンを食べているではありませんか。もう、どこか外国に紛れ込んだかという錯覚に陥ります。

空いている席が、カウンターしかなかったためそこに腰を落ち着けます。

 

端正な鶏スープ。鶏ハムタイプのチャーシューも合格点

 

しばらく待っていると、お盆に載せられたやや深さのある丼に入ったラーメンが到着しました。覗き込んでみると、実に端正な鶏スープです。ほどよく脂の膜が張っていて、濃厚そうな茶色系統の色。とはいえ一定程度の透明感もあり、白い麺が透けて見えます。

「いただきます」と聞こえない程度のボリュームでつぶやき、麺をひとすすり。

するとどうでしょう。思わず目を見開いてしまいました。結構濃厚そうに見えて、案外さっぱりのスープ。そう入っても、鶏だしのコクがしっかりあります。気が利いているなと感じたのが刻みたまねぎです。鶏だしの甘みとはことなる生のたまねぎのやさしい甘みが口の中で合わさると、本当に楽しい。

さらに驚いたのが麺です。一般的なラーメンの麺と比較すると白っぽい麺は、あっさりとしたのど越しなのですが、しっかりと弾力があります。スープのからみも問題なし。麺とスープがハイレベルのバランスを保っています。

今度はチャーシューに箸を伸ばします。口に含むと鶏ハムなのにパサつきがありません。ジューシーさと、ほどよい塩気がスープにマッチしています。

「こりゃハラルとして売らなくても普通に勝負できるやん」との評価です。

丁寧に、丹精につくられたラーメンをしっかりとスープの一滴、ねぎのひとかけらも残さずに平らげました。

 

実はおススメは塩だしだったという事実。再訪確定です

あまりに意外性のあるおいしさだったため、帰りがけに店員さんと談笑してしまいました。「いや、ハラルって書いてありましたけどホントにおいしい」と水を向けると、「ありがとうございます。うちは日本の人にもおいしいラーメンですから(笑)」とやや自信ありげに応対された。しかし、気になる一言があった。「今日は醤油を召し上がってましたけど、うちの塩はもっとおいしいですから。今度是非!」と。そんなもん、再訪確定に決まってます(ちょっと選択ミスがくやしい結果に)。

 

店舗情報

鶏そば あやむや

住所:大阪市浪速区日本橋東1-10-7

電話:050-1290-7105

営業時間:17時~21時30分

定休日:日曜、祝日

定休日など:年末年始のみ休み